元カレバンドDX
「なーんか最近、元気ないねーまぁ、気持ちはわかるけどさ」

 手の動きを止めた小巻が、心配そうにあたしの顔をのぞき込む。

 あたしと小巻は、空き教室で次の講義のテスト勉強をしていた。

「充晴くんからは未だに連絡ないの?」

「ないよ。てゆうかバンドメンバーの誰からもない。あたしがライブをすっぽかしたから怒ってるのかもね」

 あれからあたしは、ライブの練習はおろか、出演が決まっていたライブさえ行かなかった。

 充晴から、あたしを気遣う連絡が入るのを待ったが、一向に来なくて、行くに行けなかったというのもある。

「まぁ、確かにあの女メンバーは最悪だよ。そんなバンドもう辞めちゃいなよ。陽愛にはもっとふさわしい場所があるって!!」

「……うん」

「それに、親友として忠告しておくけど、充晴くんとは縁を切った方がいいと思う。振り回されたら、陽愛が泣くだけだよ」

「わかってるって……」

「本当にわかってる~?なんか未練たっぷりな顔してるけど」

「…………」
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