元カレバンドDX
 金きり声を部屋中に響かせた。

 悲しさも悔しさも、あたしの中にある負のエネルギーは、あたしを突き動かす原動力にもなる。

 その力を使わずして、なにを使えというのだ。

 恋愛が終了したときに残る、しこりのような感情の残骸は、ときに、とてつもないパワーを発する。

 あたしの方が有名になって、上から嘲笑ってやればいい。

 音楽という共通の土俵で、上手投げをすればいい。

 あたしには、きっとそれが可能なのだ。

 残念ながら、誰もあたしを止められないんだから。

 テレビから聞こえてくるスバルの笑い声と、今さっき話した充晴の声がよみがえって、耳をつんざく。

 だからあたしは誓ったのだ。

 いつか、いつか絶対見返してやるんだと――
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