元カレバンドDX

　ほとぼりも冷めたいつものお昼休み。

　珍しくあたしは、スバルの話を小巻に振った。

「スバルみたいなのってさ～、やっぱ女の敵だよね！」

「うん。なんか今だから言うけど、始めからちょっとおかしいなって思ってた、スバルくんのこと。普通、付き合った初日にＨなんてしないよ？」

　小巻は、学食でＢランチのメンチカツ定食を食べながら、さらりと言ってのけた。

　あたしは、ケチャップで自分の名前を書いたオムライスをほおばりながら、小巻はただ者ではないなと感心する。

「でも陽愛もさ～、簡単に男の人を家に上げちゃダメだよ」

「だって、そのときは好きだったんだもーん！」

「そんなのは理由になりません！もっと自分を守らないと！特にひとり暮らしなんだからさ」

「はーい……」

　すねたふりをして見せたけど、きついことを言ってくれる小巻は頼りになる。

「それよりさ、耳よりな情報なんだけどね、スバル……大学辞めて、今は売れないインディーズバンドのギタリストをやってるらしいよ～早く売れるといいよねー！」