元カレバンドDX
「ごめん!大丈夫!?」

「だ、だいしょぶしゃないよ、はにきゅうに!?」
(注・大丈夫じゃないよ、なに急に)

「だって、すごい気になるんだも~ん!!黒いクレヨン♪」

 涙目になりながらも、なんとか落ち着いたあたしは、小巻に言った。

「もう誕生日のことも、あの変な詩も全部忘れたいの!!」

「でも取ってあるんでしょ?黒いクレヨン」

「もう、黒いクレヨン黒いクレヨンってなんなの~」

「わたしさぁ」

 小巻は、目線を斜め上に固定し、またお茶をすすった。

「なんか、詩を書かされた講義あったじゃん。狭い教室でやったやつ」

「それがどうかした?」

「そのときね、実はこっそり陽愛の詩を読んじゃったの」

「え!?まぢで」

「うん、横から覗いちゃった。でさ、陽愛、やっぱりな~んかいけると思うんだよね~」

 今度は、ほおづえをして、小巻はニッと白い歯を見せた。
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