元カレバンドDX
「でも、風ちゃん……あ、彼氏、風太(ふうた)って名前だから『風ちゃん』って呼んでるんですけど」

 あたしは続ける。

「風ちゃん、もう何度も家に泊まりに来てるんです。いっつもベットの中で一緒に寝るのに、それなのになんにもないって、ちょっとおかしくないですか?」

 あたしが口をとんがらせると、先輩も「なるほど」と上を向いた。

「きっと、何か理由があるんじゃない?例えば、Hができないとかさ。あるじゃん!!男の子の性の悩みっていうの?」

「う~ん……そんな風には見えないんですけど」とあたしは頭を抱え込こんだ。

「じゃあ、自分から誘ってみれば?」

「え!?それっていいんですか?逆にひかれたりしないですかね?」

「でもずっとこのままかもよ~?」

 先輩は、いたずらな笑みであたしをもて遊ぶ。

「へ!?Hなしなんて絶対考えられないです……どうしよ~」
< 57 / 237 >

この作品をシェア

pagetop