元カレバンドDX
バイトを終えてから、スマホを確認すると、風太からのLINEが届いていた。

【お疲れ~☆バイト終わった~?何時頃に着く?駅まで車で迎えに行くよん!】

 1つ年下の風太は、スバルなんかとは比較にならないほど優しかった。基本的に送り迎えはしてくれるし、あたしに会いたい一心で、次の日が早朝のバイトでも1限から始まる授業でも、車を飛ばして会いに来てくれる。

 それに、あたしの家に来るときは、いつもコンビニでお菓子やジュースなどのお土産を買って来たりと、ちょっとした気遣いも忘れない。

 スバルの一件で、ちょっぴり男性不信気味だったあたしに、(あーこんなに出来すぎた彼氏って世の中に存在するんだぁ~)と、心を温めてくれた男の子でもある。

【風ちゃん、疲れたよ~けど、これから風ちゃんに会えるから大丈夫♡あと10分後には駅に着くよん!】

メッセージを打ったあと、風太からの「了解」のスタンプを確認してから、あたしはバイト先の雑貨屋を出た。

 人をかき分け駅へと向かう途中、ふとライブハウスが目に留まった。

 その横には、長いピンク色の髪の毛をなびかせた男性と、顔の3分の2を黒いマスクで隠した金髪の男性が座っている。
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