元カレバンドDX
 明るい光の中で改めて彼を見ると、なんとも可愛らしい顔をしていて、“男性”というより、“男の子”という言葉の方がしっくりとくる感じだった。

「なんかつまんなそうだったね。ライブとか苦手?友達に誘われて仕方なくみたいな?」

「いや、そういうわけじゃないけど、あたしもバンドやってるし……ただ、あのノリについていけないというかなんというか……」

 彼は「ははっ」と笑うと、「確かにあの世界観はすげーわ」と地面に座り込んだ。

 あたしも洋服が汚れないように気をつけながら隣に座る。

「実はオレもバンドでドラムやっててさ、前に対バンしたバンド友達に観に来いって言われて来たんだけど、まさかヴィジュアル系に転身してるとはみたいな。やーっぱオレはUKロックが1番だね」

「あ!あたしも好き!今、UKロックやってる日本のバンドあるじゃん!なんだっけ?度忘れしちゃったけど……えっと」

「あぁ、えぇと、あれだよね。なんだっけ、顔は出てくるんだけど、えっと……オレも出てこないわ。とにかくオレもあのバンド好き」
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