元カレバンドDX
 あたしは「あはは」と笑ってから、彼からもらったドリンクを一口飲んだ。

「ねぇ、そういえば名前なんていうの?あたしは陽愛。太陽の“陽”に“愛”って書くんだ」

「オレは風太だよ。風に太陽の〝太”で風太。ふたり合わせて〝太陽”だね」

 あたしたちは顔を見合わせて笑いあう。

 ふたり合わせて〝太陽”だね、なんて、なんてロマンチストな男の子なんだろう。

「陽愛ちゃんはいくつ?」

「え!女の子にいきなり年!?」

 風太は「ごめんごめん」と言ったあと、「でも教えて?」とおねだりするような可愛い表情を見せてくるので、あたしは「19だよ」と答えた。

「そっか、1個お姉さんか。仲良くしてね陽愛お姉ちゃん!!」

「は!?」

 確実にからかわれていると思ったあたしはムッとなった。

「やめてよ、お姉ちゃんとかいうの」

「じゃあなんて呼べばいいの?」

「お姉ちゃん以外ならなんでもいい」

「じゃあ陽愛ちゃんて呼ぶ!ねぇ陽愛ちゃん、もうふたりで抜け出しちゃったんだから、これからごはんでも食べに行こうよ!」

「へ!?」
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