貴方との奇跡
私何処で道間違えたんだろう。

病気になって倒れた時。

救命センターから緩和ケア病棟に移動になった時。

大輔と別れた時。

話すチャンスはいくらでも合った。

全部、ちゃんと話せなかったのは、弱い自分を認めたくなかったから。

あの時、話してたら変ってたかな。

風に当りながらふさぎ込んでたら中山先生が声を掛けて来た。


「良い風だなあ。」

ふさぎ込んだままだった。

「最近、木村の世界色々動き出して大変だな。」

顔を上げ真直ぐ中山先生をを見た。

「先生。過去消したいって思う事ある?」

「あるよ。怜が亡くなった事実。」

中山先生は恋人を病気で亡くしてる。

「私、就職してからここまで来るまで色々合ったでしょう。誰にも相談出来なかった。」

頷きながら話を聞いてくれた。

「弱い自分を大学時代の同期や彼氏に見せたくなかった。多分、プライドが邪魔した。」

吐き出すように言葉が出た。

「だから、嘘付いてまで....。」

「木村の責任だけじゃないよ。周りも木村の変化に気づいてあげられなかった。」

中山先生は私の顔をしっかり見て話してくれた。

「今、頑張ってるから良くない?昔の事はどうだってさ。過去より今、見てもらえよ。今の木村格好いいよ。俺惚れちゃうもん。」

やっぱりチャラかった。

でも、その優しさが心に滲みる。

「ご飯行ってくるよ。」

立ち上がり笑顔を見せた。

「そうしろ。昔の自分と決着して来い。」

「先生。ありがとう。あの時、怜さん先生に見てもらえて幸せだったと思うよ。私だったら最期好きな人に見てもらいたいもん。」



いつ暇。ご飯食べに行こうと返信した。
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