貴方との奇跡
私は、顔を隠した。
何でいるの?
昔の私を知ってる人に会いたくない。

全部、内緒にしてた事がバレちゃう。




「木村さん。どうしたの?」
優しい声で私の事のぞきこむ主任。

「やっぱり、カンファレンス参加しないとダメですよね。」
恐る恐る主任の顔を見た。

「そうね。患者さんで1人家へ帰したい人がいるの。」

ですよね。あの人が参加するかも分からないからしょうがない参加するか。





「茜。」


呼ばれたくない人から名前を呼ばれた。
振り向かないと駄目だよね。
でも、振り向きたくないんだよな。
どんな顔をして返事したらいいの?
分からない。


「やっぱり。茜だよね?探してたんだ。救命センターに行ったけどいなかったから。」

仕方ないから満面な笑顔を見せた。

「横山先輩。お久しぶりです。お元気でしたか?」

それしかできない。
周りがびっくりするでしょう。
変な顔をしてたら。

「何で携帯番号もアドレスも変えたんだよ。心配して…。」

「すみません。携帯水没させちゃって。誰も連絡できなかったんです。」

最後まで言葉を言わせなかった。
絶対、聞きたくない名前が出るのが分かってたから。

「これから、カンファレンスあるので失礼します。」

カンファレンス室に走って逃げた。
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