white coat

「実は、入院する前に家のこととか調べてもらってて。つい最近わかったんです」


「…でも、双子だったらもっと覚えてないか？一緒に暮らしてたわけだし」



「いや。俺は幼稚園に入る前から親に捨てられてたんで。」



「……」


「杏乃が選ばれて。俺は捨てられた。だから俺達の記憶の中にお互いがいない。それだけっす」



杏乃が選ばれて…？



「ごめん、頭追いつかない」


「杏乃の方が利口で。夜泣きとかもしなかったみたいだし。だからうるさかった俺は捨てたんだと思います」


「そんな…」



「…俺、杏乃より体弱かったし。あの人たちの邪魔だったから」



「……」


「まぁ今更こんな話しても意味無いんすけど。とにかく、俺は杏乃に惚れられたら困るから」



「ま、来飛が杏乃追っても俺がいるから無理だったけどな」



…来飛と杏乃が双子か



杏乃でもあんだけ深い傷があるんだ


来飛だって隠してるだけかもしれない



「なんかあったらいつでも来いよ」


「ん。もう世話になりたくないけどな」



「ははっ。確かに元気でいてほしいわ」




それから色々手続きも済まして退院した来飛