white coat
「……杏乃?」
「ッ…ハァッ」
だから言ったのに
…思い出すんだよ
「杏乃、どうした?」
「だ、からッハァ……やめ…ハァッ」
「そんな怖いのか」
そう言って聴診器を抜いた
「ハァッハァ…ケホ」
「深呼吸」
「…さわ、んなッ!!」
背中をさする手を振り払った
今触られても思い出すだけ
「杏乃、水飲んで」
「ハァッ…ハァ」
なんでこいつに命令されなきゃなんないの
「強がんな」
あーむかつく!
強がってなんかない
そう口を開こうとしたのに
いきなり視界がゆがんで
真っ暗になった