white coat




それから2人でバタバタと支度を済ませて家を出る時にだけ言葉を交わした








チャイムがとっくになり終わった頃に着いたあたしは当然生徒指導の先生に怒られた


なんとなく重い足取りで教室に向かう




ガラー


教室のドアを開けるとなんだかザワついた



「あ、杏乃ちゃんじゃん」


にこやかにあたしに近づくクラスのリーダー的存在の栞愛(ria)ちゃん




「な、なに…?」



いつの間にか壁に詰め寄られたあたし




スマホを取り出していじり始めた栞愛ちゃん



なに?


なにがしたいの?




「これ。どういうこと?」



目の前に突きつけられたスマホに写っているのは、映画館で手を繋ぐあたしと明音の画像



「なんで…」

なんでそんなのもってるの?




「学年みーんなに送っておいたから。みーんな知ってるわよ?」


「な…」


「で?これどういうことなの?」




どういうことって言われても…



「そのまんま…だけど…?」


「は?あんたもしかして、宮田先生と付き合ってんの?」



付き合ってる?


いや、ちがう。それは…ちがう…よね?


「付き合ってはないよ」


「じゃあなんであんたなんかが宮田先生と手繋いでるわけ?」


「それは…」

なんとなく…ってゆーか…



そんなの説明できないんだけど?



「人多いからはぐれないように」


まぁ。嘘ではないし…ね?


「高校生にもなって?ばかばかしい」


なんなの。嫉妬?ヤキモチ?


「で…?それだけ?」



ため息をついて栞愛ちゃんから視線を外す



「んなわけねーだろ。これはどーゆこーことだよ」


いつの間にか目の前にいたたガタイのいい男子の叶都(kanato)くん


つぎに突きつけられたのはあたしと明音がマンションに入る画像



「それは…」


一緒に暮らしてるから

なんて言えるわけない


「どーゆーことか聞いてんだけど?」


なんで叶都くんがそれを知りたいの?これも嫉妬?ホモ?


「……」


「おい答えろよ」



「……」


「聞こえねぇの?」



「……」


うざい。


「答えろっつーの!」


「一緒に住んでるから。だけど?」



あーあ。もう知らない。言っちゃったじゃん。



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