white coat



「ほら、入って?」


治療室のドアの前で俯く杏乃



「…だって痛いことするんでしょ」


「大丈夫。すぐ終わるから」



心配そうに治療室の中からこっちを見る美海先生


「やだ…」


「杏乃」



「帰るっ…」


「先生に迷惑かけるよ?」


「嫌なものは嫌…!」


「杏乃」


少し声を低くするとビクッと震えて自分を守るように頭を手で抑えた



「杏乃?」


「怒、らないでっ…言うこと聞く…から」


「杏、乃…?」



怯えるように手を震わせる



「ごめんなさいッ…殴らないで下さいッ」



「杏乃、どうした。怒ってないし、殴るわけないだろ」



なんで… こんなに俺を怖がってんの…?


ビクビクと目を開けると、ツーっと涙をこぼした杏乃



「…ちょっと休もっか。

ごめんなさい先生。ちょっと不安定みたいで…また、後でお願いしていいですか?」



「はい、私ならいつでも」



優しく微笑んでくれた美海先生にぺこっと会釈をして杏乃の手を引いた




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