white coat
「…おーい…おーい」
誰かの声が聞こえて重い瞼を開ける
「大丈夫か?」
そんな声にぼんやりしていた視界がはっきりしてきて、あたしの目に写ったのは白衣を着た若い男の先生
見たことはないけど…
「……?」
「いや、すごい辛そうだから」
うん、たしかに息苦しくて体が重い
「…大丈夫…です」
「大丈夫そうに見えないけど?杏乃ちゃん…だっけ?」
「へ?」
「明音先輩に聞いてるよ」
「あぁ…」
「俺、佐藤春輝。心療内科のほうでカウンセリングとかしてる」
「カウンセリング…」
前に明音に受けてみたらって言われたことあったっけな…
「で、大丈夫?先輩呼ぼっか?」
「ほんと大丈夫…です」
寝てれば治るだろうし…
「…そっか。なんか疲れてる顔してる。なんか会ったら言ってね」
「あ、はい…」
心にじんわり響く声であたしにそう言った春輝先生は仮眠をとるのか奥に行った