white coat

「うざい!」


「もー。杏乃ちゃんこ、わ、い」


「ふざけてんでしょ?」



「さぁ?」



「あー、腹立つ!」



がっと体を起こすとぐわんと視界が揺れた



「……ッ」


「杏乃?」


「……」




頭痛いし…


絶対こいつのせいだろ



「あー、ごめん。騒ぎすぎた」



俯くあたしのおでこに手を当てるそいつ



馴れ馴れしい…



「…触んないで」


「熱いなー。熱上がっちゃったね」


「触んないでってば」



「診ていい?」



「は?」


「診てもいいですか?」



「…なにを?」


「診察ってやつー」



「なんであんたに」



「医者だから?」



…は?


こいつが?



「ありえないんだけど…」


「え?なんで?」



「いや、あんたバカっぽいし」



「失礼だなー。ま、医者だから」


「いや絶対うそでしょ。そういう趣味?」



「いやマジで医者。ほら」



黒いカバンをあたしに差し出した




中を見ると、医者がもってそうなものがいっぱい入ってる




「…ありえな」


「もー。信用ないなー。

とりあえず、診察してもいい?」



「…むり」



「なんで?まだ信じてない?」


「医者なのはわかったから」



「じゃあなんで?あ、怖いとか?」



面白がってそういうこいつをあたしは思いっきり睨んだ




「え、なに?図星だった?」


「…るさい」




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