みんなみたいに上手に生きられない君へ
「せっかくここまできたんだし、二人でも遊ぼうよ。
さっき見たい映画あるって言ってなかった?」

「あ、うん。これ見てみたかったんだ」



二人がこれないのは残念だけど、と言いながらも、笑顔を見せてくれた和也くんに、今日上映している映画タイトルのうちのひとつを指さす。

和也くんと二人なんてさすがに緊張するからと思ったけど、映画ならあんまりしゃべらなくてもいいから、大丈夫かな......。



「これ......、字幕?」

「?みたいだね。
実はアメリカのドラマとか映画は、けっこう好きなんだ。
あ、でも、和也くん違うの見たかったから、全然別のでもいいよ」



海外もののラブコメだと思われるものが見たいというと、なぜか和也くんは固まってしまった。

こういうの、あんまり好きじゃなかったかな?

ラブコメは興味なかったかな、それともやっぱり日本の映画の方がいいのかな。



「あの、和也くん?
私どうしてもこれが見たいってわけじゃないし、本当に他のでもいいよ?和也くんは何が見たい?」



どっちにしても、どうしても絶対これが見たい!とかそういうわけでもないし、むしろ何でもいいんだ。

なんかあんまり見たくなさそうだったので、取り繕うように和也くんの顔色を伺う。

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