みんなみたいに上手に生きられない君へ
「それが嫌なら、次のテストはもう少し真面目に勉強しなさい」

「真面目に......、やってるつもりです」

「真面目にやっていて、どうやったら全教科赤点なんてとれるんだ。それも毎回」



消え入りそうな声で反論した和也くんに、先生は冷たく言い放つ。



「せめて授業内容くらい、しっかりノートに写しなさい。
黒板に書いたことの半分も書いてないじゃないか。
友だちに写させてもらって、再提出だ」



黙りこんでしまった和也くんに、先生は英語のノートを押しつけて、図書室から出ていってしまった。



「あの......、私でよかったら、ノート、見せようか?」



無言でノートを握りしめたままの和也くんに、おそるおそる話しかけてみる。
 

英語のノート。
昨日の授業の時に、しっかり書いてあるかチェックする、って抜き打ちで集めたんだ。

和也くんノート書いてなかったのかな......。
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