みんなみたいに上手に生きられない君へ

・上手に生きられない私

「ねえねえ、月子は誰がいいと思う?」



高校二年生になって、新しいクラスになってから一週間。


一時間目が始まる前の朝の時間、誰もいない廊下で。
クラス替えしてから一緒にいる四人と話していたら、自然とそんな話になった。

好きな人がいるとかいないとか、同じクラスだと誰がいいとか。



「私は......、前田くん、かな」



自分の番が回ってきて、私は、今年から同じクラスになった男子の名前をあげた。


前田和也くん。

去年は隣のクラスで話したこともなかったけど、いいなと思っていたのは去年から。


サッカー部のエースで、とにかく目立つ人で、顔も......かっこいいけど。

一番いいなと思うのは、ニカッて感じの嘘がなさそうな、気持ちいいくらいの笑顔。


好きっていうよりも、憧れ、かな。
< 4 / 207 >

この作品をシェア

pagetop