みんなみたいに上手に生きられない君へ
振りかえると、予想通りの人物。
 


「......渡辺くん」



そこまで焦ってないようにも見えるけど、いつものクールな表情とはどことなく違う気がする。



「何か見た?」

「な、なにもみてない」



渡辺くんよりも、私の方が焦っている気がする。

ごまかすようにそう答えた私の顔をじっと見てから、渡辺くんは私の腕を引き、そこからすぐ近くの部屋に引っ込っていく。


ここは、進路相談室?

資料がいっぱいある部屋で二人きりになると、渡辺くんは私の腕からパッと手を離す。

それから、私と向かい合うと、開口一番、こう言った。



「誤解だから」
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