みんなみたいに上手に生きられない君へ
「え?う、うん。大丈夫、私言いふらしたりしないから」

「そうじゃなくて。斉藤さんが思ってるようなことは何もないから。
さっきのは、アクシデントなんだ。
俺がつまずいて、その先に先生がいた」

「そ、そうなんだ」



漫画とかで、よくあるハプニング?

でも......、言い訳されると余計に疑わしい。



「説明すると、嘘っぽく感じるかもしれないけど、本当だから」

「う、うん」


私の心の中を見透かしたようにそんなことを言い始めた渡辺くん。

焦ってないようにも見えたけど、やっぱり動揺してるのかもしれない。



「俺はどう思われてもいいけど、先生には家庭がある。
変な噂が流れたら、学校にも居づらくなるかもしれない。
伝わりかたによっては、ここにいられなくなる。
先生は恩人だ、俺のせいでそんなことになってほしくない」



せっぱ詰まったようにそう言う渡辺くんに、ますます疑惑が強くなる。

疑いたいわけじゃないけど、どうしてこういう時って、言い訳されればされるほど、怪しく思えてきちゃうんだろう。





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