みんなみたいに上手に生きられない君へ

・カミングアウト

あれから、渡辺くんの秘密を知ったからといって、特に彼と親しくなることもなく、それ以外も特に大きな変化もなく毎日を送ってきた。


だけど、1週間以上過ぎた週明けの月曜。

この日はいつもとは大きく違っていた。
ううん、違ってしまったんだ。
 




いつも通り教室の後ろのドアから入ろうとすると、ところどころ聞こえてくる男子や女子の声。



「昨日のラインマジかよ......、信じられないよな......」

「まさか....くんが......、ちょっと気持ち悪いよね」



気持ち悪い?

私のことじゃ、ないよね......。


相変わらずネガティブな私は、そんな被害妄想に襲われて教室に入るのを戸惑ったけど、入らないの?と後ろから声をかけられて、仕方なく教室に入った。


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