みんなみたいに上手に生きられない君へ
「あーあ、圭佑とはわりと仲良かったけどさ、正直もう友達でいるの無理だわ」

「だよな。つーかクラスにいるだけで、軽く恐怖だよな」     


クラスにいるだけで、恐怖......。

簡単に受け入れられる人ばかりじゃないことは分かるけど、何もそこまで言わなくても......。 


今まで友達だったのに、ゲイだってことだけで、そんなに評価が変わっちゃうの?

たったひとつのことだけで、そんな目で見るの?

渡辺くんという、ひとりの人間としては考えてあげないの?


クラスの空気はすっかり渡辺くんを異物扱いで、自分のことじゃないのにいたたまれなくなって、この場から消えてしまいたくなる。



「狙われるかもしれねーしな。こえー」

「今まで着替えのときとか、そういう目で見られたってことだろ?キモいよな」

「そういえばあいつ、水泳の時も女子は一切見ないくせに、男はジロジロ見てた気がする」

「体育祭のときもさ~」
  


本当かどうか分からないことまで言い出して、しだいにエスカレートしていくそれ。

さすがにそれはひどいんじゃ......と耳をふさぎたくなった。

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