みんなみたいに上手に生きられない君へ
「何がイジメだよ。こっちの方が精神的苦痛受けてるわ。
今まであいつにずっと騙されてたんだぞ?」

「友達面しといて、実はゲイだったってあり得ないよな」

「騙したんじゃなくて、こういう風になるから言えなかったんじゃないの?」



イジメだと言われたのがカチンときたのか、言い争いみたいなのが始まりそうだった時、後ろのドアから前田くんが入ってきた。

いつもみたいに元気よく、おはようと。 



「何?なんかあったの?
盛り上がってない?」

「和也......。圭佑は?」

「圭佑?もうすぐくると思うけど」



微妙な空気の教室に前田くんは不思議そうな顔をしていたけど、それでもすぐに笑顔を取り戻して、近くの男子に話しかけている。



「お前ライン見てねーの?昨日の」

「は?そういや昨日ライン通知150とかきてたな。
誰だよー、そんな送ってくるやつ。大量過ぎて見る気なくすわ」   



ひとりニコニコと笑っている前田くんに、神妙な雰囲気のクラスメイト。

ここまできて、さすがに前田くんも異常事態に気づいたみたいで、本気で何なの?と顔をしかめた。
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