みんなみたいに上手に生きられない君へ
渡辺くんにお礼をいってかえそうとして、そういえばと思い立つ。

前田くんもきっと見たいよね。



「前田くんも見る?」

「俺はいいや。ありがとう」
 


苦笑いで返されてしまった......。 

人の手紙見るなんて図々しい女だと思われちゃったかな。



「あ!そういえば、昨日のブラジル戦みた?」

「見た!すごかったよね、特に後半」



何のブラジル戦だろう?

さっきまでしんみりとした空気だったのに、この話題になったとたん、前田くんも渡辺くんも急に楽しそう。

 

「そうそう。......斉藤さんもサッカーとか見たりする?」

「えっサッカー......ごめん、あんまりルール分からなくて......。ゴールにボールを入れたらいいんだよね?」



......前田くんと話す機会があるなら、サッカーの勉強くらいしとけばよかった。

自分の無知さを呪っていると、いきなり前田くんが吹き出した。



「そこから?
やっぱ斉藤さんって面白いな!いちいちツボる」



ええ!?
どこらへんがツボにはまったんだろう?

お腹を抱えて笑いはじめた前田くんに、渡辺くんも笑いをこらえるように肩を震わせている。

何か変なこと言ったかな?
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