山賊上がりの近衛兵
ルーテシア・ファン・レオネール。
自らが愛す将軍と、これから永久の約束を誓う女。
ヴィクセンと同じく白い髪を持ち、その絹のような美しい髪を以て"絹姫"と民から呼び慕われる彼女は、この国を正道へと戻す為、結婚相手の将軍が求めた国民の求心力を掻き立てる旗印となる。
この国、ヴォークリンデ王国は数年前まで長きにわたり王位継承を目的とした内乱に揺れていた。これから夫となる将軍は、それらの原因である王位継承者達をほぼ全て粛清していった男だった。そしてそんな彼が選んだ彼女は、十年以上も前にそれら継承者に早期に滅ぼされた継承権最下位にある一地方貴族の人間だ。
「心配……ですか?」
「あの人が私を選んでくれたのは、クーデター成功後にあの人がこの国を統べることに対する反撥を押さえるべく、正当な血統と夫婦になることで大義名分をなしたかっただけじゃないかしら?」
「賢くなられました。ですが……」
ルーテシアの冷静な言葉にフフッと面白そうに笑うヴィクセン。
「大丈夫ですよ。あなたは将軍閣下に選ばれました。違う、貴女もまた将軍を選んだのです」
返す彼には全くと言ってルーテシアの不安を聞いて恐れているところはなかった。
自らが愛す将軍と、これから永久の約束を誓う女。
ヴィクセンと同じく白い髪を持ち、その絹のような美しい髪を以て"絹姫"と民から呼び慕われる彼女は、この国を正道へと戻す為、結婚相手の将軍が求めた国民の求心力を掻き立てる旗印となる。
この国、ヴォークリンデ王国は数年前まで長きにわたり王位継承を目的とした内乱に揺れていた。これから夫となる将軍は、それらの原因である王位継承者達をほぼ全て粛清していった男だった。そしてそんな彼が選んだ彼女は、十年以上も前にそれら継承者に早期に滅ぼされた継承権最下位にある一地方貴族の人間だ。
「心配……ですか?」
「あの人が私を選んでくれたのは、クーデター成功後にあの人がこの国を統べることに対する反撥を押さえるべく、正当な血統と夫婦になることで大義名分をなしたかっただけじゃないかしら?」
「賢くなられました。ですが……」
ルーテシアの冷静な言葉にフフッと面白そうに笑うヴィクセン。
「大丈夫ですよ。あなたは将軍閣下に選ばれました。違う、貴女もまた将軍を選んだのです」
返す彼には全くと言ってルーテシアの不安を聞いて恐れているところはなかった。