山賊上がりの近衛兵

元服 男子のしきたりの真実と若頭に求められる物

「本来は、拘束した捕虜処刑させて命を奪わせた経験を以て元服とする。それが、俺が興したこの山賊村の伝統だ。だが……お前だけは違う」

 いつもは息子を小馬鹿にするような笑みを浮かべる頭領、されど軽い口調の中には確かに何か真剣味を見え隠れさせていた。

「里がお前に望むのはただの元服した男じゃねぇ。強く、頼りになり、皆を引っ張ることの出来る次の頭だ。それを、見せる必要がある。だから、今回の儀式は伝えた通りに行う」

「俺との戦いで勝利、のちの身の自由を保障することで本気で俺を殺しにくる捕虜を、俺が里の皆の目の前で殺す事」

「そしてそれに二度はない。元服した奴らが山賊稼業で死んだ後の、里外へ旅立つという扱い。それは勿論お前にだって適用させる。ルーテシアに会うこともないままにな。そしてその責務は、今度はライナに求めることになる」
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