山賊上がりの近衛兵
元服 少女に押し寄せる現実

元服に向けて 大人の装い

「あぁ、それにしても肉体労働っていいわぁ。無心でいられるし、アイツのアホ面思い出さなくていいし。にしても熱いなぁ」

 時は移り、ルーテシアは里から少し離れた森の中で元服の際に装いにアクセントを加えるためのアクセサリー素材を集めていた。其れは花であったり、その果実であったり、ともすれば磨けば滑らかに美しく輝く動物の骨であったり。

 まだ幼いとはいえなかなかの重労働。頭にかぶっていた頭巾が蒸れているのが非常に気持ち悪かった。

 彼女は気づかない。こんな山奥の里くらいだろう。年頃の娘で、そんなものを嬉々として探すのは。

 それはルーテシアにとっても珍しい事ではなかった。彼女がそれらの素材を探しているのだって、既に元服を迎えた年上の同性たちから教えてもらった事なのだから。
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