生まれ変わっても、またあなたに恋をした
「無事で…よかった…」


祐希はその場でへなっと座り込んだ。


「言ったじゃないですか!無事って!」


看護師さんが祐希をしかりつける。


「すいません、どうしても気になって…」


そう言って頭を下げる祐希に、はぁ…とため息をつく看護師さん。


「お見舞いが終わったら、すぐに自分の病室に帰ってくださいね、患者さん」


そう言って出て行ってしまった。


「祐希くん、きてくれてありがとう。おばさん、仕事抜けてきたから仕事に戻るわね、美羽をよろしく」


母までそういうなりさっさと出て行ってしまった。

2人きりになって、祐希がベッドのそばの椅子に座った。

私は体を起こし、ベッドに座った。


「祐希…無事でよかった。かばってくれて、ありがとう」


やっとお礼を言えた。


「いや…美羽こそ、無事でよかったよ。守りきれなくてごめん…」


しゅんとして俯いた祐希の頭にぽんっと手を置く。


「何言ってんの。助けてくれたから、この程度の傷で済んでるんだよ?ありがとう」


そう言ってにこっと笑うと、祐希はほっとしたように笑った。


あ…やっぱり、似ている。夢に出てきた彼に–––


ふと、病室に置かれた鏡を見る。そこに写っている自分は、夢に出てきた彼女に似ている。


2人とももっと幼かったけど…

それに、私のほうが幼かった。

私たちは同い年。なのに、祐希に似た彼は15歳くらいで、私に似た彼女は10歳くらいだった。


あの人たちは–––誰。



「…美羽?」


心配そうな祐希の顔が私の顔を覗き込む。

はっとして顔を上げた。


「大丈夫?」


「うん。ごめんね、ちょっとぼーっとしてた…」


そう言って笑うと、祐希もそっと微笑んだ。


「ていうか…祐希って、無茶するね」


「夢中だったんだよ」


「もう…本当に無事でよかった………し…か」


「え?最後、なんて?」


「え?あ…いや、なにもないよ?無事でよかったなぁって思って」


「そっか…じゃあ、俺そろそろ戻るな」


「うん、きてくれてありがとう」


祐希を見送って、再び横になる。


あの人たちは、誰だったんだろう。

馬車から降りてきた男は誰だったんだろう。


それに–––私は、祐希のことをなんて呼ぼうとしたの…?


そうやって考えているうちに、眠気が襲ってきた–––
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