【完】俺のこと、好きでしょ?
幸いなことなのかどうか分からないけど、藤くんとわたし以外の人は近くにいなくて、わたしの放った言葉は藤くんにしか聞かれていない。
…藤くんに聞かれていることが大問題な気もする。
「何言ってんの…わたし!ごめん、何でもない…!!」
お願いだから、忘れてほしい。無理だと思うけど。
「……可愛いと、思うよ」
「……っ」
夏の午後6時なんて、全く暗くなくて人の表情がしっかりと確認出来てしまう。
藤くんの顔は赤かった——と、思う。
わたしの顔は見なくても分かる。絶対、真っ赤になってる。
だって、あついもん。
全身が暑くて、夏だからっていう理由じゃないのはわたしが一番よく分かってる。