【完】俺のこと、好きでしょ?


わたしはチクリと痛んだ胸を無視して、


「…そろそろ、帰ろうか」


終わりを告げた花火と同時に、そう言った。






帰り道、わたしと藤くんとの間に会話はゼロ。


気まずいと感じないほど、わたしはさっきの藤くんの言葉を考えてしまっていた。


『どちらかと言えば、俺は一途の方』


藤くんに思われる人が羨ましくて、どうしてわたしじゃないのだろうか。と、知りもしない彼女に嫉妬する。


こんなことを思う人を、藤くんが好きになってくれるはずないよね。


「俺にかき氷食べられたこと、そんな怒ってんの?」

「…え?」

「悪かったよ、そんなに全部食べたかったなんて思わなかった」


…えっと、藤くんは何かすごい勘違いをしてたりしませんか?してますよね。


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