【完】俺のこと、好きでしょ?
*
「奈帆!奈帆!!」
金曜日の朝、慌てたようにわたしの名前を呼びながら教室に入ってきた愛子。
席に座って1時間目の授業の準備をしていたわたしに、クラスメイトの視線が集中する。
大きな声で叫ぶのは、やめてほしい…。
「どうしたの?」
「……ねぇ!!柊真くんと奈帆って付き合ってる?」
「頭打った?」
もしも、わたしと藤くんが付き合ったとしていたら、わたしはすぐに愛子に報告するはずだ。
慌ててたからどんなことを言われるのかと思えば……。
「なんでそんなこと聞いたの?」
愛子はキョロキョロと教室を見渡して、藤くんが居ないことを確認すると小さな声で
「柊真くんに彼女がいるって噂があるの」
信じたくもない言葉を口にした。