【完】俺のこと、好きでしょ?





「奈帆!奈帆!!」

金曜日の朝、慌てたようにわたしの名前を呼びながら教室に入ってきた愛子。

席に座って1時間目の授業の準備をしていたわたしに、クラスメイトの視線が集中する。


大きな声で叫ぶのは、やめてほしい…。


「どうしたの?」

「……ねぇ!!柊真くんと奈帆って付き合ってる?」

「頭打った?」


もしも、わたしと藤くんが付き合ったとしていたら、わたしはすぐに愛子に報告するはずだ。


慌ててたからどんなことを言われるのかと思えば……。


「なんでそんなこと聞いたの?」

愛子はキョロキョロと教室を見渡して、藤くんが居ないことを確認すると小さな声で


「柊真くんに彼女がいるって噂があるの」


信じたくもない言葉を口にした。


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