【完】俺のこと、好きでしょ?
とっても悪いことをしている気分になるんだけど……。
それから10分くらい経っただろうか、
「…あっ、」
背が高くて大人っぽくて、それでいて少し可愛さのある女の人が藤くんの肩を叩いていた。
「……本当、だったんだ…」
愛子の呟いた小さな声に、わたしは異常に反応してしまった。
卒業式間近。
藤くんの彼女だと噂の上がった女性の像とそっくりだ。
『どちらかと言えば、俺は一途の方』
この前の夏祭り、藤くんが放った言葉が今浮かんできて泣きそうになった。
少し話した藤くんと女の人は、仲良さそうに肩を並べて歩き出す。