【完】俺のこと、好きでしょ?
「…追いかけよっ!」
わたしの服を掴んだ愛子の手をそっと、離した。
「もう…いいや」
だって、苦しい。
これ以上、藤くんがあの人と一緒にいる所は見たくない。
「まだわかんないじゃん!これから、他の人と合流する……奈帆…」
愛子が言葉を詰まらせ、苦しそうにわたしの名前を呼んだのは、わたしが泣いてしまったからだと思う。
泣きたくないのに、涙が出て止まらない。
「ごめん、奈帆…。奈帆は本当に柊真くんのことが好きなんだもんね。苦しいよね。悲しいよね。ごめんね…」
愛子は何も悪くないのに、謝らせて、愛子にまで悲しそうな顔させて…。
謝らないといけないのは、わたしなのに。