【完】俺のこと、好きでしょ?
「ごめん…、愛子」
藤くんを諦めたいってあの日から何度も思った。
もう好きじゃないって何度も自分に言い聞かせた。
でも、無理だった。
だから、藤くんのことを好きだって認めてもう一度だけ彼に自分の気持ちを伝えようとしたけどそれももう無理だよね。
「もう…やだ…っ」
藤くんのことで涙を流す自分も嫌だし、藤くんのことを諦めたいと、また諦めると決めなければいけないことを嫌だと思う自分が嫌だった。
「奈帆…」
藤くんのこと、こんなにも好きになっていた自分に改めて気付かされた。
どうしてわたしは藤くんじゃないとダメなんだろう。
決定的な何かがあったわけでもなければ、彼に執着する理由なんて無いはずなのに……。
多分、これが“好き”ってことなのかな。
なんて、ポエマーのように好きを心の中で語りそうになったから考えることをやめた。