【完】俺のこと、好きでしょ?


テスト週間は部活が休みになるから、学校に残って勉強してる人以外、この時間に帰宅する人はあまりいない。


いつもは部活してる人達の下校時刻と一致する時間帯だけど、今日は駅にいる人は少なめだ。


だから、電車の中でも座ることが出来た。


電車は乗り換えの関係もあって、わたし達の乗る駅で3分ほど止まる。


「電車が発車します。閉まるドアに……」


“ご注意ください”


ブザーが鳴り、おきまりの言葉の最後が聞こえなかったのは、ドアが閉まる前に慌てて入ってきたのが藤くんだったから。


閉じるドアを背に、わたしの方へと向けられた藤くんの顔。


少し驚いた表情をした後、プイっと知らん顔をして違う車両へと向かっていった。


「藤くんだ…」

「小林先輩しってるんですか?」

「…彼のこと知らない人の方が少ないんじゃないかな」

藤くんの知名度を今日、改めて知った。


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