【完】俺のこと、好きでしょ?
藤くんはいつもそうだ。
大切な人がいるくせに、人に期待させるようなことばっかりする。
期待しても無駄なのに、わたしはすぐ期待して傷つくんだ。
もうそんなの嫌なの。
「藤くんはからかってるの?」
「は?」
「もう、ほっといてよ!勉強教えてもらわなくなったからって友達じゃなくなるわけじゃないって藤くんは言ったけど…わたしは嫌だったの。藤くんと一緒にいるのが。だから……」
「分かった…。ごめんな」
そっと離された手は、さっきまで藤くんが握っていたから暖かい。
暖かいはずなのに冷たくなっていく。
離れていく藤くんの背中がどんどん遠くなって、ぼやけていって
こんなこと言うつもりじゃなかった。