【完】俺のこと、好きでしょ?




放課後、帰る準備が出来た藤くんはわたしの席まで来てくれた。


「行ける?」

「ちょっと待ってほしい」

「うん。ゆっくりでいいよ」

……や、優しい!

って、今は藤くんの優しさに感動する前に、みんなからの視線が痛いことを忘れてはいけない気がする。


まだ教室にはたくさん人が残っていて、藤くんがわたしの準備が出来るのを待ってる姿を多くの人が無言で見てる。


そう、無言で……。

「え、柊真と桃里付き合ったの!?」

そんな時、静かな教室に響いたのは時田くんの声。


「昨日の掃除の時、2人で先に帰ったもんな!まじかよ~」

「………」


時田くんは柊真くんの首に手をまわして、笑っていた。


「じゃあさ、柊真が今まで付き合わなかったのって、桃里のことが好きだったから?」

「うん。そうだけど、ちょっと時田うるさい」

「桃里、愛されてんね。よかった、よかった」


……わたしは今のこの状態が全然よくないんだけど。


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