【完】俺のこと、好きでしょ?


「ありがとう…っ」

「えぇ、奈帆ちゃん泣いてる?」

「泣いてないよ!泣きそうなだけ!わっ!」

「泣くの?」

目尻に溜まっていた涙を藤くんは指でスッと拭ってくれた。


その動作に、わたしとみんなの時間が止まる。


『泣くの?』


って言った藤くんの声も表情も、目尻に触れた手さえも優しくて、胸がぎゅってなる。


「奈帆?」

「……いや、なんかもう待って。お前違うわ。柊真じゃない。誰?」


突然入ってきたのは時田くん。

うん、ナイスな所での登場です、時田くん。


「いや、お前が誰?」

「桃里にだけ態度違うね。前はみんなに優しかったのに…酷い」

「まぁ、特別だからね」

………。


聞いてるこっちが恥ずかしくて、顔がどうしても赤くなっちゃう。

鏡見てないけど、絶対赤くなっちゃってるから!

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