【完】俺のこと、好きでしょ?
今日の放課後は、藤くんの家に行く予定だ。
その時にでも聞いてみようかな……。
「奈帆、帰ろう」
「うん」
いつものように、学校を出て少しすると自然と繋がれる手。
藤くんは絶対道路側を歩いてくれて、わたしの歩幅に合わせて歩いてくれる。
そんなことをさりげなくやっちゃう彼だから、いつまで経ってもわたしは彼に適わない。
いつか、藤くんに勝ちたいと思う気持ちは変わってない。
藤くんをドキドキさせて、照れてもらうのがわたしの目標。
卒業までには、一回は藤くんに勝ちたいって思う。
「ガッツポーズなんてして、何考えてんの?」
「藤くんに勝ちたいと思って」
「勝てると思ってるの?」
「思ってるよ!なんなら今でもぼこぼこだよ!」
「へー」
……藤くんが優しかったのは、最初の一週間くらいで、それからはいつもの塩対応藤柊真に戻ってしまっている。