【完】俺のこと、好きでしょ?


藤くんは、勉強机の他にカーペットの上に置いてある机の上に持ってきた飲み物を置いた。

わたしは無言でパンフレットを持ったままだ。


「……県外、行くの?」

「ううん。行かないよ」

「でも、これ……」

「先生に渡されただけ。大学は県外じゃなくていいし」


嘘だって、思った。


だって、藤くんは嘘をつくときに一回目を閉じる。


今も一度目を閉じて言葉を紡ぐ。


「興味ない大学のこと、こんなにも調べないよね?」

「先生が調べてただけだって。いいから、こっち来て」

持っていたパンフレットを奪って、そのまま机の上に乱暴においてわたしをカーペットの上に座らせた。


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