【完】俺のこと、好きでしょ?
図書館に向かおうとしたわたしを止めるように、藤くんはわたしの腕を掴んだ。
「さっきの俺の話聞いてた?」
「聞いてた…」
「じゃあ、なんで図書館に行くなんていう選択肢になるわけ?止むまで待つってさ、止まなかったらどうせ濡れることになるけど」
「や、止むかもしれないじゃん!」
そんなに責めなくてもいいのに。
わたしはわたしなりに、言葉を選んだつもりだ。
「入っていけばいいよ、俺の傘に」
「………え?」
「どうせ家近いんだし」
「いやいや、無理だよ。藤くんが濡れちゃう」
一本の傘に2人入るのってさ、ほとんど意味をなさないんだよ?愛子と何回かしたことあるけど、2人ともビショビショだもん。
「…なんで、怒ってるの?」
「理解力ないなと思って。怒ってはないよ」
嘘だ。絶対、これは怒ってる藤くんだ。