【完】俺のこと、好きでしょ?
「怒ってる!止まなかったら濡れて帰るよ。もう暖かいし、風邪ひく心配もないと思うからね」
「黙って甘えとけば?
変なところで気使う必要ないから」
「……藤くんは、卑怯だ」
意地悪なら意地悪なままでいてよ。
下手に優しさなんて見せないで?
「濡れたって怒らないでよ?」
「そんなんで怒るわけないじゃん。行くよ」
結局、わたしは藤くんにお世話になってしまった。
*
今、わたしは藤くんと世の中でいう、相合傘というものをしているわけですが恥ずかしい!
近いし、肩あたりそうだし、藤くん多分濡れてる。なのに、彼は文句の一つも言わない。
いつもみたいに意地悪なこと言ってくれたらいいのに。そうすれば、わたしはこんなにもドキドキしなくてすむ。