【完】俺のこと、好きでしょ?





学校から帰ると、お母さんが慌てた様子でキッチンで何かを作っていた。

一応軽く帰ったことを知らせるために声をかけようとした時、

「奈帆!これ持って、藤くんの家に行ってきて」

大きな紙袋を手渡された。

中身を確認すると、熱冷まシートや体温計。さっき作ったであろうお粥がタッパに入れてある。それに、ゼリーや飲料水など風邪の日グッズがもろもろ入っていた。


「藤くんのご家族、今日から田舎のおばあちゃんの所に行かなきゃいけないらしいの。だから、お願いね」


帰ってきたばっかりで、いきなりお願いねなんて言われても厳しいものはある。でも、断ることは出来なさそう…。


お母さんも夜は、地域の人たちで集まって会議があるって言ってたし。

「家、分かる?」

「うん、分かるよ…」


1度だけ藤くんの家には行ったことがあるから。中央公園の近くにあって、お庭は綺麗な花がたくさん咲いてて、藤くんの部屋はモノトーンで統一されている。


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