【完】俺のこと、好きでしょ?
*
学校から帰ると、お母さんが慌てた様子でキッチンで何かを作っていた。
一応軽く帰ったことを知らせるために声をかけようとした時、
「奈帆!これ持って、藤くんの家に行ってきて」
大きな紙袋を手渡された。
中身を確認すると、熱冷まシートや体温計。さっき作ったであろうお粥がタッパに入れてある。それに、ゼリーや飲料水など風邪の日グッズがもろもろ入っていた。
「藤くんのご家族、今日から田舎のおばあちゃんの所に行かなきゃいけないらしいの。だから、お願いね」
帰ってきたばっかりで、いきなりお願いねなんて言われても厳しいものはある。でも、断ることは出来なさそう…。
お母さんも夜は、地域の人たちで集まって会議があるって言ってたし。
「家、分かる?」
「うん、分かるよ…」
1度だけ藤くんの家には行ったことがあるから。中央公園の近くにあって、お庭は綺麗な花がたくさん咲いてて、藤くんの部屋はモノトーンで統一されている。