【完】俺のこと、好きでしょ?


だけど、学校が同じなら嫌でも藤くんの話題はわたしにも伝わってくる。


誰に告白されたとか、どんな言動をしてキュンとしたとか。


聞きたくないのに伝わってくる藤くんの噂はたまに辛いものもあるけど、高校に入学してから一度も女の子と付き合ったという噂は入ってこない。


その事実が嬉しくて、でも、悲しかった。


“あの人”じゃないとダメなのかって再確認するから。





「……ん」

それから30分後、わたしはなんとか藤くんの腕の中から脱出して、彼が目覚めるまで待っていた。


「何してんの……?」

まだ頭が完璧に冴えてないであろう藤くん。


「起きるの待ってた。薬飲んでね」

「あ、寝てたのか……」

寝てたよ。寝てた時のこと覚えてないとは言わせませんよ。

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