【完】俺のこと、好きでしょ?


わたしの嫌な予感は的中してしまった。

あろう事か依田くんは今度はわたしの手を握らず1人で走ってどこかに行ってしまった。


さらに最悪なのが、彼が懐中電灯を持っている。

…あぁ、最悪。


ここがどこかも分からないし、光はない。

携帯電話は行く前に没収された。

……ど、どうしよう。


夏だから寒すぎるってことはないけど、半袖だから少し肌寒い。

「…怖いのに」

1人で暗いところは苦手。

街頭がたくさんある矯正された道路ならまだ1人で歩くことができるけど、こうして何もない暗い場所は無理だ。


中学2年生の冬、先輩に体育倉庫に閉じ込められた。

使われてない体育倉庫で、電気が壊れててつかないし、長い間誰も来なかった。

1人で怖くて泣いてたら、助けに来てくれたのは藤くんだったね。


< 91 / 240 >

この作品をシェア

pagetop