【完】俺のこと、好きでしょ?
わたしの嫌な予感は的中してしまった。
あろう事か依田くんは今度はわたしの手を握らず1人で走ってどこかに行ってしまった。
さらに最悪なのが、彼が懐中電灯を持っている。
…あぁ、最悪。
ここがどこかも分からないし、光はない。
携帯電話は行く前に没収された。
……ど、どうしよう。
夏だから寒すぎるってことはないけど、半袖だから少し肌寒い。
「…怖いのに」
1人で暗いところは苦手。
街頭がたくさんある矯正された道路ならまだ1人で歩くことができるけど、こうして何もない暗い場所は無理だ。
中学2年生の冬、先輩に体育倉庫に閉じ込められた。
使われてない体育倉庫で、電気が壊れててつかないし、長い間誰も来なかった。
1人で怖くて泣いてたら、助けに来てくれたのは藤くんだったね。