【完】俺のこと、好きでしょ?
焦ったようにわたしを抱きしめてくれた藤くん。
藤くんのせいじゃないのに、彼は何回もわたしに「ごめん」って謝った。
確かに、わたしを閉じ込めた先輩は藤くんのことが好きで、藤くんと仲良くしてたわたしをよく思わなくて起こした行為だけど、それは藤くんのせいじゃないでしょ。
わたしは今でも、あの時の藤くんの表情が忘れられない。
苦しそうに今にも泣きそうな顔で謝る彼のことを。
……こっちまで泣きそうになった。
その日からだんだん藤くんと距離が出来たんだよね。
できた距離を近付けようとして起こした行動で余計距離が出来ちゃったし。
だから、藤くんがわたしの家庭教師として話せてることが奇跡のようにおもえる。