【完】俺のこと、好きでしょ?


心配かけてごめんね、


助けてくれてありがとう。


中学2年生のわたしは、藤くんにお礼の一つも言えなかった。


「…藤くん、ありがとう」

「バカ。無理して笑ってんじゃねーよ」

「……無理してない」

「涙声だけど?」

だって、嬉しいんだもん。

藤くんが汗かいてまで探してくれて、涙が出るほど嬉しい。

怖かった。このまま誰も見つけてくれないんじゃないかって。

だけど、藤くんがわたしを見つけてくれたから。

泣きそうになった理由に気付かないで。


「藤くん」

「なに?」

「…ありがとう」

今も、あの時もありがとう。


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