最期の時間を君と共に
「ここですか?」

すごいボロボロな店。

「まずそう……」

「食べたら美味いと分かる」

男の人は、鍵をさして開けた。この人の店なのか。

「ボロボロじゃないですか。建て替えしないんですか?」

素直に思ったことだった。男の人は、悲しそうに笑った。

「建て替えはしたくないんだ。親父たちも、ここでこうやって働いて……、俺も親父たちと同じ場所で働きたいからさ。……あと、金もないし」

言っちゃまずかったかな。でも、言ったことは消せない。俺は、静かにカウンター席に座った。
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