最期の時間を君と共に
「じゃあ、返せばいいじゃないか」

テンチョは当たり前だというように、さらっと言う。

「何万もするやつですよ?返せるわけ……」

「来年の誕生日に、返せばいいじゃないか。1年あれば、無理なことはないだろう?」

「……そうですね」

「さ、出来たぞ。俺おすすめ、トンカツ定食だ」

「うまそ……」

「だろう?なんかあったら、いつでも来なさい。俺が話し相手になろう。閉まってるときでも構わないぞ」

それからずっと通い続けていた。テンチョはいつだって相手してくれた。テンチョは俺の、大切な人。
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